会社概要

これからの会社のあり方

　私たちは目に見えるものだけがすべてではないことを知っています。

　日本人は無宗教な人も多いと言われますが、お正月には初詣に行きますし、お盆になれば御墓参りに行ったりします。 そして、そこで、目に見えないもの、触れることができないものへの敬意の念を抱き、感謝の意を表すのです。「私は幽霊など信じない」という人でも、暗闇に一人でいれば、ひょっとしたら何かいるんじゃないかと恐怖心を抱きますし、夢で見たことを虫の知らせだと言って信じたりもします。 つまり、私たちは、目に見えるものだけがすべてではないことを知っていますし、大事にしているのです。

　しかしながら、知っているはずなのに、どうやらビジネスの現場では、そのことを忘れ、無視してしまいます。 資本主義経済においては、利益の確保が最も重視されますから、コストを考えれば、効率や合理化やスピードは当然キーワードとなるでしょう。ですから、目に見えるものや、論理的に解釈や説明がしやすい事柄にフォーカスが当てられるようになります。したがって、心のような漠然としたもの、定量化・数値化が難しいものは、中々受け入れられないことが多いのが実情です。

　経営者という立場にいると、やはり、利益重視、効率重視の経営をしがちです。会社の成果に対する全責任は経営者が負うことになるからです。ですから、社員の気持ちや考えは二の次になりやすいのです。社員の意見を取り入れるということは、自分のビジョンや方針に対して「邪魔が増える」と考えてしまいがちです。つまり、経営者にとって、「心」重視の経営は、いわば、最も大きな試練になるということになります。「心」が失われれば、人間が「物」のように扱われるようになります。ならばロボットと同じです。

　心を無視すると、身体に心の兆候があらわれるようになります。心が疲労すれば、身体も疲労します。心に不安を感じれば、身体は緊張したり、収縮して、痛みやこりに変わります。頭や胃が痛くなったり、首肩腰などがこったりします。心が健康な人が増えれば、身体も健康になり、力がみなぎり、組織に良い変化が現れてきます。 意欲や主体性が生まれ、自発的な意見や行動によって、社員同士のコミュニケーションが増えます。それまでやらされていると感じていた仕事に、積極的に取り組めるようになります。心が健康な人同士の質の高いコミュニケーションは、組織をさらに成長させてくれます。 組織のパフォーマンスは上がり、成果にも繋がります。しかめっ面の冷たい空気が、笑顔が多く、柔らかで暖かい空気に変わります。時に、「白い歯を見せるな！職場は戦場なのだ！」などと公言してはばからない経営者さんもいるほどですが、私はそうは思いません。そのような会社さんにお邪魔すると居心地が悪くて帰りたくなります。

「ものごとは心でしか見ることができない。大切なことは目には見えない」

　フランスの作家・飛行士　サン＝テグジュペリ作『星の王子さま』の一節にあることばです。物語を読み進める中で、ただ目に映るものが必ずしも真実とは言えないということを教えてくれます。

　私は、これからの時代は、目に見えない大事なことを大事にする企業こそが、周囲から大事にされて行くのではないかと思うのです。人間に「心」が存在している以上、自分が成長している喜びや社会のお役に立っているという意識や感覚を大事にしなければ、企業の成長はないでしょう。「つくれば売れる時代」、「がむしゃらに頑張れば儲かる時代」は終わりました。物の豊かさから心の豊かさを求める時代がやってきています。

　心が健康な社員を増やすということは、会社を成長させる経営戦略でもあります。ですから、ハードルが高いことではありますが、これからも、そこを目指し、さらなるチャレンジをして行きます。私たちの成長が、ひいては、お客様、仕入先様、地域の皆様、家族、その他関わる多くの人々に良い影響を及ぼすものだと肝に銘じて、これからも自分たちの「できること」に集中し、ベストを尽くしてまいりたいと思います。

株式会社ホウキン
代表取締役　伊藤彰記